「カカクコムはどうして利益率が高いのか?」

 

日経ビジネスの「隠れ高収益企業」特集(2018/9/24)の中で、取り上げられていたのが「カカクコム」です。営業利益率は48.9%という驚くべき数値が目に留まりました。

 

インターネットのメディア事業を展開している「カカクコム」が、なぜこのような高い利益率が出ているのか調べてみました。

 

カカクコムの事業の柱は価格比較の「価格.com」と飲食店紹介の「食べログ」です。

そのどちらのカテゴリーでも集客力でトップのポジションとなります。

 

■カカクコムの沿革

1997年創業者の「槙野光昭」氏が会社員時代に仕事として、パソコン関連の自社商品・他社商品の店頭価格をおこなっていたのがきっかけです。消費者は比較して安くところで買いたい、小売店は競合の価格を知りたい。これらのニーズを満たすために「価格.com」の原形のサイトを立ち上げ創業します。創業当時はひとりで価格調査を行い、手作業で更新していました。

 

2003年東証マザーズに上場、2005年東証一部上場、「食べログ」を立ち上げします。

現在の会社全体の売上は約468億円、営業利益は約229億円、売上構成比は「価格.com」が45.9%、「食べログ」が40.9%となります。それぞれの事業別の利益率は公表されていません。(2018年3月期 決算説明資料)

 

■「価格.com」はなぜ利益率が高いのか?

対象商品は電気商品を始め、自動車やペット、保険やローンなど多岐にわたって価格比較した専門サイトです。創業当時は先述したように自社で価格調査をしてサイトのデータ更新していましたが、アクセス数が増えるとその販売力から販売事業者自体が情報更新するようになりました。それが結果的に情報更新のための人件費の削減となっています。メリットはそれ以外にも情報精度の高さや販売事業者が値付けした製品が安い順に並ぶので、競争対抗上、できるだけ上位のポジションを目指すため更なる値下げを促す仕組みとなっています。

 

その主な収入源はサイトから消費者が購入した販売事業者からの手数料とサイト内の広告となります。

 

■「食べログ」はなぜ利益率が高いのか?

食べログ」はユーザーからの飲食店の評価を5点満点で数値化した口コミによるお店の紹介サイトです。飲食店紹介サイトとしては「ホットペッパー」、「グルナビ」の後発ですが集客力では一番です。これはサイト利用者にとっては、評価の数値化の分かりやすさと口コミ内容は店の選定に使いやすい結果といえます。

 

店舗情報の誤りなどの管理はカカクコムで行いますが、基本はユーザーからの情報で構成しています。こちらも情報入力の人件費が競合と比較しても少ないといえます。

 

さらに過去には「評価のやらせ」(業者がお店からお金をもらって評価を高くする口コミをする)がありましたが、評価の数が増えるにつれて情報の精度は高くなるといえます。

後発の口コミサイトがいくつか出てきていますが、「食べログ」が先行して蓄積したデータ数の信頼性は当面その差を埋めにくいと考えます。

 

その主な収入源は飲食店からの販促サービスとネット予約からの手数料収入、ユーザー会員からのコンテンツ利用料、サイト内の広告などとなります。

 

■「カカクコム」に学ぶ仕組み化

「最良の仕組みは仕事をなくすこと」と言われています。「価格.com」・「食べログ」は場所(プラットフォーム)を提供していますが、中身(コンテンツ)は外部に任せて、その管理のみを行っています。それがマイナスになるどころか最大の強みになっています。

 

そして最初の段階は利用者を増やすことに注力して、利用数が大きくなり影響力が大きくなった段階で稼ぐという「サービスが先、利益は後」の発想です。

 

まず利用者の利便性の向上を考えながら、その仕組み化に成功した結果が驚異の利益率を生んだのです。

 

(参考文献)

ナンバーワン企業の儲けるしくみ(幻冬舎