応援したくなる会社

たまたま人からおもしろそうな会社として教えてもらったポケットマルシェ(通称ポケマル)を調べてみたら、本当におもしろい。農家・漁師から消費者が直接食材を買えるアプリで2015年に創業した新しい会社です。

もともと、創業者の高橋博之氏が故郷の岩手で東日本大震災の後、被災地で水産業の手伝いをしていました。養殖牡蠣が買いたたかれ、生産者にはほとんど還元しない現場を見て、生産者と消費者を直接つないで、食べ物が育てられる裏側をきちんと見せなければと生まれたのが紙の有料ダイレクトメール「東北食べる通信」です。その経緯で発展して生まれたのがアプリを開発したポケットマルシェです。農家と漁師の生産者と消費者のプラットフォームとして、売上の15%をポケットマルシェに支払う以外は中間マージンが発生しない。送料もヤマト運輸との提携により通常よりも安くなっています。

ビジネスモデルとしては、フリーマーケット「メリカリ」と同様にCtoC(個人対個人)をつなぐポジションを農水産物に特化しただけなので、目新しさはありません。

しかし、その理念は共感するものがあります。生産者のメリットとしては、直取引によるまっとうな利益を確保することでできることです。消費者のメリットとして、生産者の顔のみえる安心感と新鮮な食材や珍しい食材を簡単に入手することができます。さらに両者が直接対話することでコミュニケーションが生まれ、生産者のモチベーションの向上、消費者も生産過程を知ることで、生産者の苦労を理解して、食べ方や保存方法まで聞けることはまさに流通革命です。この生産者を救済する社会的ニーズと消費者の便利な食材の購入方法を生み出したこの会社は多くの人の賛同と共感が得られるのではないかと思います。この9月にはユーグリナ、メルカリから1億8千万円の投資を受けてますますビジネスを加速することを願います。所在地の岩手県花巻市といえば、子供の時に好きだった「銀河鉄道の夜」の宮沢賢治を生んだ場所で、彼も農学校の教師だったと記憶します。その儲からなくて跡継ぎも少なくなっている疲弊した生産現場から誕生した「一次産業を情報産業に変える」という理念は、私自身が都会の温室でぬくぬくと生きている自戒もこめて、応援したくなる会社です。

f:id:fujikenlife:20171028062109j:plain